電話をかけるとき緊張する。かかってきた電話に出るのが怖い……。世の中で「電話恐怖症」と呼ばれる問題を抱えている人が増えています。「電話が怖い」という感情の背景、「恐怖症」と「苦手意識」の差、電話恐怖症になる理由などについて、心療内科医の鈴木裕介先生にお話を伺いました。

■ミレニアル世代以降に「電話が怖い」人が増えている背景とは？
鈴木先生によると、特に20代において「電話に苦手意識がある」という声が増加しているとのこと。これは日本だけでなく、欧米でも同様で、「テレフォビア」と呼ばれています。イギリスの調査によれば、ミレニアル世代の70%～80%が「電話が鳴ると不安になる」と回答しているそうです。

その原因として、以下の点が挙げられます。
・固定電話に対する恐怖感：ミレニアル世代以降は、知らない番号からの電話を受ける経験が少ないため。
・電話が相手の時間を奪うというマナー意識：これが「電話をかけること」に対する緊張を生む要因となっている。
・電話はメールよりも手短に終わる場合も多いことに気づかないこと。

■「電話が怖い」は「電話恐怖症」なのか？
鈴木先生は、「電話が怖い」と感じることが「電話恐怖症」であるかどうかは別の問題だと指摘します。医学的な「恐怖症」は、過剰な不安を伴う状態を指します。たとえば、着信時にパニックになる、あるいは「電話を受けたくないから会社に行きたくない」と感じる場合は、電話恐怖症と考えられるでしょう。

■電話でのトラウマ体験による反応で恐怖症になることも
電話恐怖症は、電話がトラウマ的な経験と結びついている場合が多いです。例えば、大事な人の訃報を電話で受けた経験がある人や、病院や警察からの突然の電話がトラウマになっている人などが該当します。このような体験が「電話は恐ろしいものだ」という認識を強化するのです。

■「電話恐怖症」は専門性の高いプロに頼り、「電話が怖い」場合は呼吸や心拍を遅くする工夫を
鈴木先生は、電話恐怖症の場合は専門家に相談することを勧めています。特にトラウマに関連した恐怖は心理療法で改善される可能性が高いです。一方で、軽度の「電話が怖い」場合は、呼吸や心拍を遅くすることで対処できるとしています。「3秒で吸って7秒で吐く」などの呼吸法を試すことが推奨されます。